ママチャリとスポーツバイクの共通点といえば、二輪でペダルを踏むと前に進むくらいしか思いつかない。(極端すぎるw)逆に、両者の絶対的な違いはなんだろうか。いろいろな定義があるだろうけれど、
ママチャリ=移動手段。
一方で、
スポーツバイク=乗った瞬間or見た瞬間に驚きがある。
または
スポーツバイク=自転車で持ち主を楽しませてくれる。
今回、試乗レビューとして紹介するDAHON Mu SLXもそんな驚きやワクワク感がある自転車である。
初めて購入するスポーツバイクなら興奮すること間違いなし、いままで100,000円くらいの折りたたみ自転車に乗っているなら、同じ折りたたみ自転車?とビックリするだろう。
折りたたみ自転車購入を考えている人、DAHONを検討している人。購入すれば、ほぼ間違いなく今までとは違った自転車生活が始まるよ♪
DAHONとは?
DAHONってなに?と思ってしまうかもしれない。
車や電化製品のブランドなら身近だけれど、自転車ブランドとなると、「ブリヂストン、あとは知らん」という人も多い。
DAHONは折りたたみ自転車メーカーである。アメリカに本社を有している。
折りたたみ自転車に関する数多くの特許を取得しているので、街中にあふれる安物自転車は大抵DAHONと同じような折りたたみ方法を採用することになる。
折りたたみ自転車メーカーであるので、数多くの車種がある。エントリーモデルのDAHON Boardwalk D7とか、14インチの軽量モデルのDAHON K3とか、キュートなDAHON Curve D7とかドロップハンドルを備えているDAHON Dash Altenaとか。
DAHON Muとは?
↑ギュインと曲がったフレーム
DAHON Muとはフレームが流線型になっているモデルで、現在のDAHONの主流となっているモデルである。
流線型のフレームが格好いい!なんだか艶かしい感じもあって魅かれていく。スレンダーなモデルの足みたいな感じといえば良いだろうか。
DAHON Mu SLXとは?
DAHON Mu SLXはMuシリーズの中でも最高峰に位置するモデルである。
ハイエンド。
フラッグシップ。
呼び方はなんであれ、モデル名のSLXとはSuper Light eXtremeの略。
最高級なのだ。
名前にある通り、なにが最高かというと、DAHON Mu SLXは究極の軽さを求めている。
追求した結果、公称8.6kg(ペダルなし)という軽さを実現している。
ちなみに、以前のフラッグシップモデルはDAHON Mu SLと呼ばれるものだった。
SLも軽量で8.9kgくらいだったが、それを再設計して、軽さと剛性感をました究極モデルがDAHON Mu SLXである。
具体的に変更されたのが、リアフレーム。チューブを2本に増やして細くすることで、軽量化と剛性感アップを実現した。
DAHON Mu SLXの歴史を見れば軽量へのこだわりを感じるぞ
これまでのDAHON Mu SLXの歴史を振り返ってみよう。いかに軽さにこだわっているかがよく分かる。
2013年モデル
初登場。この年はDAHON30周年記念でもあり、公式カタログでは、次のようなコラムが掲載されている。
Muは2006年のデビュー以来、常に”折り畳み自転車にとっての快適性への追求”というキーワードとともに進化を続けてきました。その中で”軽量化”にこだわり開発されたモデルが「Mu SL (Super Light)」です(2006年当時発表重量:9.2kg)。その後、Muのフレームをベースとしつつ軽量化と走行性能の向上のために改良を重ね、リニューアルするごとに確実に軽量化を果たしてきました。そして新作「Mu SLX」はその最先端に立つ、試乗最軽量8.6kgのMuとなりました。同時にこれまでの9段変速から10段変速へアップグレードを果たし、まさにDAHONの進化を示すバイクです。
テーマは軽量。従来のSLよりも200〜300g軽量化と同時にリアフレームが2本になり剛性感が増した。173,000円+税。
2014年モデル
大幅な仕様変更なし。色変更のみ。タイヤがSchwalbe Kojakの特注カラーだったのが、普通になった。でも値上げして193,000円+税
見慣れた風景までも新鮮に感じさせる、ライトな走行フィーリング。軽量で衝撃吸収にも優れたカーボンを使用したシートポストやハンドルバーと、最軽量クラスのDAHON Proホイールに20” x 1.35スリックタイヤを組み合わせた走りが、リズミカルな風となって街に溶け込みます。
カーボンをアピールしているが、2013年と同じ仕様である。
2015年モデル
目立つ変更が加えられた。
- シートポストがアルミ製(以前のカーボン製は固定力が弱いという欠点があった)
- 105コンポが5800シリーズ
- タイヤがPanaracer Minits Lite
色はオブシディアンブラックとカリブブルー。カリブブルーはハンドルポストとサドルもブルーの特注。
値段変わらずの193,000円+税。
DAHON Mu SLXのコンセプトとして
少し遅めの朝食は、いつものカフェで。
コーヒーとシナモントーストの
香りに包まれたまま、
ビルの階段を上がる。
自らがデザイナーも務める
クローズ・ショップは
このビルの2Fにある。
エレベーターはない。
今どきのオフィス・ビルのような
広い廊下やホールもない。
不便な事だらけの建物でも、
常連さんの評判は上々で、
今のところ移転する予定はない。
それには、軽量の相方
SLXの存在も大きいのかもしれない。
階段の窓から差し込む朝の光、
閉店後の夜の光。
季節を感じながら、
階段を歩く1分間が
楽しい時間になっている。
もはやポエム。いろいろと唄っているが、要は「軽い」というアピールである。
2016年モデル
シートポストがKCNC製になる。フロントDがオプションで取り付けられる仕様は継続されているが、ワイヤーガイド位置が変更となる。
色はチタン、ブリティッシュグリーン。値上げの207,000円+税。アピールするのはやっぱり軽量であること。
8.6kgの軽さと強さを両立させるために選ばれたフレームとパーツ。
そして手にすると分かるその高い機能性と操作性が、
他とは一線を画した優れたツールとしての価値を感じさせてくれる。
手にすると分かるその高い機能性?操作性?とは???手にすると分かる圧倒的な軽さではなくて?
↑ワイヤーガイド位置が変更
2017年モデル
大幅な変更なし。スパーキーレッドとピュアシルバー。フレームに謎の線が襷掛けで描かれている。アピールしているのは
スマートなルックスに秘められた優れた走行性と軽量性。
専用設計されたMuフレームと各所に取り入れられた軽量パーツ。8キロ台の軽さを活かし輪行を楽しむのにも最適。
とのこと。やはり、軽さを全面的にアピール。
値下げされて192,000円+税。
2018年モデル
新色ドレスブラックが追加されたのみ。
20インチサイズ最軽量の8.6kgを誇るフラッグシップモデル。持って軽いのは当然のこと、走っても軽い理想のライトウェイトバイクを追求。誰もがその”違い”を感じられるものへと仕上がった。
軽さアピールがつづく
2019年モデル
ハンドル固定方法が変わる。
ドレスブラックは引き続き、新色としてプレミアムゴールド。
20インチサイズ最軽量の8.6kgを誇るフラッグシップモデル。持って軽いのは当然、走ってもその恩恵を受けることのできる理想のライトウェイトバイクを追求。無限の可能性を秘めたバイクへと仕上がった。
とやっぱり軽量をアピール。「無限の可能性を秘めたバイク」ってよくわからないけどw
195,000円+税とちょっと値上げ。
2020年モデル
105コンポのアップグレードに伴い、リアDがシャドータイプになる。出っ張りが減っているので、折りたたんで運ぶときにぶつけにくい。
フロントバッグを取り付けるためのアダプタが取り付け可能になった。以前のモデルではこの部分はDAHONバッヂだったのだ。
↑アダプタ取り付けのマウントあり
プレミアムゴールドはひきつづき、メタリックグレーとミッドナイトの2色が追加。またしても値上げして197,000円+税。
↑プレミアムゴールド
↑ミッドナイト
2021年モデル
もはや定番モデルだけに、変更点は色だけ。
↑メタリックグレー
↑ドライレッド
値段も変わらずの197,000円+税。。。だったけど2021年4月から217,800円。
こうして歴代モデルをみるとわかるとおり、DAHON Mu SLXは軽さがウリなのだ。
テーマは軽量!それがもたらすメリット
軽いと何がよいのか?折りたたみ自転車はどうしても重くなってしまうが、それが軽いとメリットたくさんある。
メリットその1:ヒョイ!と持ち上げられる
軽量化をすると、自転車を持ち上げるのが簡単になる。
9kg以下だと成人男性ならヒョイと持ち上げることが可能。
片手でヒョイ。ヨイショじゃない。
↑片手で持ち上げてパシャリ
この軽さの素晴らしさはすでに折りたたみ自転車を持っている人なら理解してくれるだろう。
車からの出し入れ、電車で輪行移動中の運びやすさ、マンションの階段などなど、いろいろなところで、ヨイショではなくてヒョイと動かせるのは大きな魅力である。
メリットその2:ぶっ飛んでいく走行性能
8.6kgのDAHON Mu SLX。
試乗してみると、まあ予想通りの軽さがもたらす加速とスピード。ペダルを踏みながらついついニヤリ。
明らかに他の自転車とはちがう別世界の走り。
ビューンと飛んでいく、登り坂もヒューンと登っていく。
これが折りたたみ自転車なら、いままで乗っていたのはなんだろうか。
本当に別次元の走りをする。まさに、軽さは正義!橋輪さんのブログに次の一文があった。
注)これに乗ってしまうと、ミドルクラスには戻れなくなりますので、お気を付け下さい
本当にうまいことを言うなぁと。
予算が絶対足りない人が、ちょっとした好奇心で試乗するのは絶対にやめるべき。
たとえば、100,000円くらいのDAHON Mu D9を購入しようとしているなら、DAHON Mu SLXに試乗してはいけない。同価格帯のTern Verge N8などを試乗するべきだろう。
井の中の蛙でいたほうが幸せなこともある。
DAHON Mu SLXの折りたたみについて
折りたたみ方法が複雑かシンプルなのかは重要なポイント。わかりづらいのは間違えの元である。
折りたたみ自転車だから、折りたたまないで利用するのは馬鹿げている。しかし、折りたたみ方法が複雑だと折りたたまなくなってしまうのだ。
もし折りたたまないならば、最初から折りたためない自転車を購入するほうが、安くて走行性能が高いモデルを選ぶことができる。
DAHON Mu SLXの折りたたみ方法はシンプル。つまり
↑シートポストを下げる
↑ハンドルポストを折る
↑フレームを折っておしまい
↑折りたたみサイズ、W77 × H65 × D35cm
この折りたたみ方法のシンプルさと軽量8.6kgが合わされば、気楽に折りたたもう!と思えるはず。
折りたたみ自転車の魅力は折りたためることなのだ!当たり前のようで、意外と面倒になってしまいがちだ。
折りたたまないとその利点を発揮できるとはいえないだろう。
折りたたむことで保管もしやすく、いろいろなところに持ち出しができる。
DAHON Mu SLXのスペック確認
DAHON Mu SLXをみると、随所で軽量化が図られているのがわかる。
↑DAHON Proホイール。前後合わせて990gらしい。
↑シートポストは軽量で有名なKCNC
↑グリップがスポンジ。
それ以外のスペック表は公式サイトをもとにした。
- 重量:8.6kg
- ホイールサイズ:20inch(ETRTO 406)
- ギア数:11
- 折りたたみサイズ(cm):W77 × H65 × D35
- サドルからペダルまでの長さ(mm):690~940
- フレーム:Dalloy Sonus Aluminum, V-Clamp technology
- フォーク:Dahon Slip Stream aluminum fork
- ハンドルポスト&ステム:Radius onepiece, rightside folding, 330mm/12°
- シートポスト:KCNC Lite Wing Dahon edition, 33.9x570mm
- ブレーキ:Promax DHV–85
- ブレーキレバー:Shimano BL4700
- フロントホイール:Dahon Pro 406, 14H, OLD:74mm
- リアホイール:Dahon Pro 406, 16H, OLD:130mm
- タイヤ:Panaracer Minits Lite PT, 20×1.25, F/V
- クランク:FSA Vero, 55T
- フロントディレーラー:なしだけど台座あり
- リアディレーラー:Shimano 105
- シフター:Shimano RS–700-R
- スプロケ:Shimano CS-R7000, 11–28T
- ペダル:MKS Promenade EZY quick release
- キックスタンド:なし
- 色:メタリックグレー、ドライレッド(2021年モデル)
DAHON Mu SLXの弱点
軽い。それゆえにもたらされた弱点もしっかりと指摘しておきたい。
疲れる
ぶっ飛ぶ性能にも弱点があった。乗っていると疲れるのだ。その軽さから自転車に
「もっと踏め!もっと踏め!!もっと踏めぃーー!」
と言われているようで、グルグルと高速でペダルを回してしまう。
そしてアルミフレーム。しっかりと地面からの振動が体に伝わる。なんだか麻薬に浸っているような自転車だ。(注:麻薬を試したことはない)
ドラクエでいう般若の面といえばよいだろうか。「呪われている」というと語弊があるが、中毒性のある自転車である。
グリップを交換したい
軽量化を追求した結果、グリップが単なるスポンジである。せめてこの部分を交換すれば、もう少し乗り心地が改善するのかなぁと思う。
たとえば、ERGONグリップに変更するだけで、疲労度は随分と軽減されるのではないか?
DAHON Mu SLXのライバルは?
200,000円くらいするDAHON Mu SLXだが、ライバルになりえるモデルについて考えた。
同じくらいの値段でぶっ飛ぶスピードを出せる可能性があるモデルは何かなぁ?真っ先に浮かんだのは、ただ一つ。
Tyrell FXα
Tyrell FXαのほうが9.5kgくらいとちょっと重いけれど、負けないくらいスピードが出せそう。
輪行するならサイズが小さいDAHON Mu SLXのほうが上だが、ロードバイクコンポを使えるTyrell FXαも魅力的ではある。
購入を考えている人は両方を比べてみて欲しい。
まとめ
DAHON Mu SLXは新しい自転車生活をいろいろと想像させてくれる自転車である。それは8.6kgという劇的な軽さがあるから。
最後に
今回も橋輪さんに協力をいただきました。いつもありがとうございます。
今日も『自転車でGo.com』にお越しいただきありがとうございます。なにはともあれ、グリップ速攻交換でしょ。
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