旧東海道の自転車旅、8日目。最終日
いよいよ、旧東海道自転車旅も最終日。
実はこれを書いているのは旅が終わってからで、5ヶ月近くが経過しています。
旅の気持ちを忘れないように、たくさんメモし、たくさん写真を撮影しました。
どうやって、それをまとめようかと悩み続けていたのです。
あのときの気持ちを最も上手に伝えるにはどうすればよいだろうか。
と、考え続けました。
皮肉にも、考えれば考えるほど、あの時の気持ちが遠いものとなり、記憶が薄れていきます。
最後の宿泊地だったホテルルートイン水口でたまたま見ていたNHKのドキュメンタリー番組。
そこで、紹介されていた山岳ガイド野村良太さんの一節が胸に響いてきます。
どれだけ写真を撮ってもどれだけ日記に言葉を紡いでも表現しきれないこの貴重な時間を可能な限り胸に刻みたい。次第に薄れゆく儚いものだからこそ、価値があるのだろう。
旧東海道を自転車で走る旅。
いよいよ最後の1ページとなりました。
今回走ったルートは
水口
石部
大津
京(三条大橋)
です。
現代で言えば、
滋賀県甲賀市
滋賀県湖南市
滋賀県草津市
滋賀県大津市
京都府京都市
となり、いよいよゴール。
↑今回の旅でも何度か利用したルートイン。朝食をしっかり食べることができます。
↑自転車を部屋まで運べます。感謝!
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水口宿を走りながら旅を振り返る
いよいよ出発。
昨日出会ったウクライナ人の彼もすでに出発しているのでしょうか。
宿場町の景色をみるのではなく、彼が歩いていないかとキョロキョロしてしまいます。
人恋しくなっているのです。
人と触れ合う時間がないと人が恋しくなり、人といると孤独を求める。
なんと自分勝手なのかとおもいます。
本来、自転車旅は孤独です。
道中で人と話すことはほとんどありません。
それでも、全く人との接点がないわけではないのです。
思い返せば、
桜海老丼の紹介をしてくれたおばちゃん
下須賀宿観光案内所のおじさん
ホテルのフロントの方々
訪問した店の店員さん
そして、ウクライナからの友人
袖触れ合うも多生の縁。
孤独な旅だと思っていましたが、道中さまざまなご縁がありました。
ただ、今日は人の気配はどこにも感じられず。
時折すれ違うのは車だけ。
一人旅に戻って、最終日。
無心でペダルを回していきます。
↑水口宿外れにあった常夜灯、旧東海道横田渡跡にあります。東海道では最大級。
石部宿で年の瀬を感じる
京都に近い宿場町のほうが、古い佇まいの家が続いている印象です。
石部宿も例外ではありません。
今日は12月30日。
あいにく観光センターは休館日。
路上で掃除をしている人が目立ちます。
門松を出し始めているお家もちらほら。
暮れも押し迫った時期で、新年に向けて準備をすすめているのでしょう。
石部宿は商業地というよりもどこか住宅街という雰囲気です。
「江戸時代の新年はどのような様子だったのかなあ」
と思いながら、ホイールのラチェット音を響かせました。
↑観光センターもお休み
↑落ち着いた街並み
草津宿(江戸と令和の合流地点)
草津宿といえば、旧東海道と旧中山道の合流地点。
古い石碑がたっていて、周囲は整備されています。
むしろ、ここは現代と江戸時代の合流地点のような気がしてきます。
草津宿が近づくにつれて、だんだんとマンション群が増えてきます。
気がつけば、交通量も。
石部宿で感じていた旧道の雰囲気は息を潜めてしまい、代わりに整備されたコンクリートの道路が真っ直ぐに伸びています。
旧東海道の旅という夢から覚めて、現代に舞い戻ったような印象を受けました。
琵琶湖と瀬田の唐橋と大津宿
瀬田の唐橋に到着。
ここは琵琶湖1周サイクリング(ビワイチ)の起点になっています。
あのときは秋、今回は冬。
↑あれ?新しくできたのかな?
結局、全てはつながっているのです。
瀬田の唐橋で2年前の記憶と今回が繋がりました。
点と点がつながって線となるように、あらゆる物事はつながるんだよね。
今回の旅でじっくり見ることができなかった場所も、きっといつかどこかで繋がるのでしょう。
湖畔にはたくさんの高層ビルが並んでいます。
そのビルが障壁となって湖景色を街道沿いから眺めることはできません。
それでも、ビルの向こうには雄大な湖が広がっているのでしょう。
いつか、またビワイチをしたいなぁと思いながら、今回のゴール、京都を目指します。
ついに三条大橋
琵琶湖と京都の間には峠がひとつ。
名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな
という百人一首で詠われた逢坂山を越える必要があります。
山といっても、スイスイ。
ゴールは目前。
それが大きなエネルギーとなって、ペダルを踏む力もしっかりとしたもの。
いよいよ、京都へ。
目指すは三条大橋。
↑道路標識にも「三条大橋」の文字。
いよいよゴールが目前に迫ってきました。
このまま車の流れに乗れば、あと5分か。
終わってしまう。
だから、最後までこだわりたい。
大通りをそのまま進むのではなくて、細い路地へ。
この細い道こそが、旧東海道。
路地に入ると、ゴミ収集車を待つゴミ捨て場。
下水道工事の跡が目立つ道。
なんだか、生活感が漂うところです。
何度も地図を確認してしまいました。
↑住宅街を抜けました
ゴール近くは感動的になると思っていましたが、庶民的すぎて肩透かし。
想像と違う生活道路を抜けて、ゴールに向かいます。
ついに到着。
三条大橋。
鴨川の水がとても澄んでいます。
そして多くの観光客が行き交っています。
源義経も、弁慶も、豊臣秀吉も、その他、数えきれない多くの人がこれまで行き交っていたのでしょう。
1週間かけて走った旧東海道です。
達成感はもちろん。
しかし、それ以上に旅が終わってしまったことの詫びしさを感じてしまいます。
京都観光も考えました。
ただ、歩道から人が溢れるほどの観光客。
今回は京都観光が目的ではありません。
旧東海道を走って、京都にたどり着くことが目的なのです。
目的を達成した私がしたことは
スタバで休息すること1時間。
お土産購入するのに1時間。
京都駅で新幹線を待つこと1時間。
合計3時間で京都を後にしたのでした。
今日も『自転車でGo.com』にお越しいただきありがとうございます。今度は徒歩で旧東海道を進みたい。
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